認知症と便秘 〜便秘を放っておかない!〜

 認知症の方が急にソワソワする、怒りっぽい、幻視妄想などの変化があった場合、まずは便秘を疑う。 
これは介護現場などでは、多くの職員に共有されている事実だと思います。

 

 PTである三好春樹先生は、BPSD(行動心理症状の原因を
1)便秘 2)脱水 3)発熱 4) 慢性疾患の悪化 5)季節の変わり目 6)薬
の順に調べていくことを勧めています。
最初に便秘が述べられていますね。三好氏の本の中でも「排泄最優先」とはっきり書かれています。

 

●なぜ便秘だと精神的に不調となるのか?
恥ずかしながら、私は医者でありながら長いこと「便秘で不快だったら、それはソワソワするでしょう。言葉でうまく不快感を表現できないし。」と解釈していました。何とも浅い理解です。
 そんな短絡的なものではないことを、この本に教えて頂きました。

 

便秘を放っておかない!

 

●キーワードは腸-脳相関
 腸と言うのは、単なる消化器官、食べ物と便の通り道ではないのです。
栄養の消化吸収以外に、様々な酵素やビタミン、ホルモンの生成に関わっており、腸内細菌を通じてアレルギーや癌、免疫、生活習慣病など全身の健康に深く深く関わっていることがわかっています。
腸内にどのような細菌が分布しているかはそれぞれ異なり、細菌が腸内に広がる様子が花畑のように見えることから「腸内フローラ」とも呼ばれています。

 

便秘を放っておかない!

 

 ホルモンやサイトカインを通じて腸と脳の状態が影響を与える状態は「腸脳相関」と呼ばれています。パーキンソン病、発達障害、うつ病、不安神経症などの、脳の病気についてもこの腸内フローラが影響していると。特にパーキンソン病については、病気の首座である延髄という部位に、胃腸を動かす自律神経があり、主と思われている症状が出る10-15年前から便秘症状が始まっていると言われます。
 セロトニンは、幸せホルモンとも呼ばれ、感情の安定化に関係するホルモンですが、セロトニンは70%が腸で作られます。

 

●便秘を放っておいてはいけない
便秘を放っておかない!

 

「食事を変えれば、認知症は必ずよくなる!」を書かれた園田康博先生は、便秘は2日でイエローカード、3日でレッドカードとおっしゃっています。
 便秘があるから「とりあえず下剤」「とりあえず浣腸」と薬を追加して終わりではいけません。認知症の方が精神的に穏やかでいられるために腸内フローラを整えるのだ!という気持ちで、攻めの姿勢で行きましょう!
 中でもレビー小体型認知症症状では、自律神経障害の症状として便秘となる確率が高く、それによって全身の症状に影響が出るので、排便コントロールは重要です。

(1)食物繊維をしっかり摂る。(野菜・果物・きのこや海藻)
(2)発酵食品をしっかり摂る。
    プロバイオテックス(納豆・ヨーグルト・チーズ・昆布茶
(3)オリゴ糖を取り入れる。(腸内細菌の餌)=プレバイオテックス
(4)乳酸菌生成エキス(腸内フローラ改善サプリメント)=バイオジェニックス

 

(1)〜(3)までは、今日スーパーに行ってすぐに始められますね。まずは出来ることからすぐにやってみましょう。それでもまだ…もう一声!となれば、(4)の導入も考えます。

 

 これらの工夫で幻視や妄想、怒りっぽいなどの症状が和らぐのであれば、抑制薬を増やすよりも間違いなく体に優しいです。

 

 なお、便秘に対して通常処方される薬と言えば酸化マグネシウム(便を柔らかくする)やプルゼニド(腸の蠕動を増す)が一般的ですが、ビフィズス菌で整えるという目的ではミヤBMなどの整腸剤を併用することもあります。麻子仁丸という漢方も、高齢者と相性がよい漢方です。