認知症と生活改善のすすめ

 認知症の治療をする。
この言葉から、どんな風景を想像するでしょうか?
「お薬を出しておきますね。」
それ以外の治療は思いつかないという方が圧倒的に多いかと思います。

 

生活改善のすすめ

 

 でも実は、薬以外の生活習慣を改善することで、本人の状態は著しく変わります。認知症は、生活習慣病そのものなのです。なぜ医者は生活習慣についてあまりアドバイスをしてくれないの?と思われるかもしれません。そもそも知らないのかもしれないし、興味がないのかもしれません。(医者の仕事は薬を出すことだと思っているのかも…。)どんなに時間をかけて懇切丁寧に説明をしたところで、診療報酬は全く上がりません。
 でもがっかりする必要はありません。本人や家族に知識さえあれば、日本全国どこにいたって、今日からすぐに‘治療’が開始できるんですから!受診して時間や手間をとられる必要もありません。薬は違います。どんなにいい薬でも、医者が処方せんを書いてくれなければ、絶対に飲むことはできません。医者いらずで良くなる可能性があるというのは、とても夢がある話なのです。

 

(生活習慣改善項目)

●食事・便秘の改善・口腔ケア
●運動
●睡眠
●つながり・生きがい

 

 認知症において「早期発見」が大切なのは、自分の生活を自分で管理しようという判断能力・主体性が残っているうちに生活改善に力を尽くしてほしいから。(身の回りのことにサポートが必要な段階になっている場合には、その分ご家族がしっかりサポートして差し上げて下さい。)認知症症状が進行してしまうと、前頭葉の機能低下と共に甘い物を欲しがる傾向が出て、食事のコントロールが更に難しくなります。

 

 今から項目ごとに医学的な根拠と共に説明をしますが、どれも拍子抜けするくらい‘あたりまえのこと’ばかり。きっとこう言いたくなると思います
「そんなの知ってる。」
でも、知っているから実際にやっているかと言えば、ほとんどのことを「やっていない」のです。
知っているのとやっているのは、大違い。
知っていることには、何の価値もありません。やって初めて変化が生まれます。
だから、必ず一度は実際にアクションを起こして下さい。

 

 先日読んだ植田耕一郎先生の『長生きは「唾液」で決まる!』という本の中で、こんな一文があります。

 

私は、暮らしの中で大事なのは、誰もが興味を惹かれるような珍しいことではなく、日々繰り返される当たり前のことだと思います。

そうした平凡な営みを支える労力こそ、評価されるべきだと考えます。

 

 そして現在の健康保険制度において、1粒の薬よりも1日の食事単価の方がけた違いに低く見積もられていることに疑問を呈していらっしゃいます。この文章を読んで、これこそが医療者が生活指導をおろそかにしてしまっている問題の根源だと確信しました。

 

 さあ、共に一人の生活者として、生活改善の旅に出かけましょう!いきなり全てが完璧になどできなくてもいいのです。