1度はやっておくべき血液検査

 認知症を疑った場合、早い段階で血液検査をしておくことをお勧めします。
目的は2つ。

 

1)Treatable dementia(治る認知症)の除外

 認知症は脳の神経細胞に原因があることが圧倒的に多いですが、中には内科的な理由で類似した症状が出ることがあります。具体的には、甲状腺機能低下症、ビタミンB1欠乏, ビタミンB12欠乏などが挙げられます。
 これらは認知症全体から見れば割合は低いとは言え、Treatable dementia(治る認知症)とも呼ばれるため、早めの段階で一度は検査をしておきましょう。ふつう町の検診などの血液検査項目には入っていないため、「健診や内科の採血で偶然見つかる」ことはあまり期待できません。ねらって測らないと見つからないのです。
1度はやっておくべき血液検査

 

甲状腺とビタミンB1は飲み薬で、ビタミンB12は一般的に筋肉注射で治療を行います。

 

2)内科的な全身状態の把握

 

 処方する薬によっては、腎臓や肝臓の働きが低下している場合には処方するべきではなかったり、配慮が必要な薬があります。また認知症の薬の副作用で肝機能が悪化することもあります。後に血液検査を行って肝機能障害が見つかった時に、最初から数値が高かったのか、薬を飲み始めた後に上がったのかを判断するためにも、やはり治療開始前の早い段階で検査を行います。また食欲が異常に強くなって甘い物をひっきりなしに食べるような認知症症状が出る場合には(ピック病が代表格です)、糖尿病が気づかないうちに悪化して…ということもありえます。

 

1度はやっておくべき血液検査

 

 通常は初めての外来の時に採血をすることが多いのですが、ちょっとしたことで興奮してしまい、とても採血なんてできない…という場合でも、ご心配なく。そういう場合には、まず穏やかになる治療を最初に行い、状態が落ち着いた頃を見計らって検査をすることも可能です。