意味性認知症

 

 

 もの忘れ外来でこの病名をお伝えすると、ほとんどのご家族が「は?」という表情をします。聞き慣れない病名なので当然です

 

 意味性認知症は、文字通り「言葉の意味がわからなくなる」=語義失語という症状が特徴的な認知症です。前頭側頭型変性症という認知症の1タイプで、失語は辞書の機能をもつ側頭葉の萎縮によって起こります。

 

意味性認知症

 

 失語をひっかけるのに、「利き手はどちらですか?」という質問をします。日本人の大人で利き手という言葉を知らない人はあまりいません。
意味性認知症の患者さんの反応
「ききて?……。」(おうむ返し)
「利き手と言うのは、きく方の手ですか?」

 

 このようにすぐにパッと適切な返答が返ってこなかった場合は、失語があるのではと疑います。他に「右手で左肩を叩いて下さい」と指示を出したり、ことわざの意味を答えてもらったりも失語チェックに使います。
日常生活は言葉なしでもすむ部分が多くあるので生活は何とか回せているものの、長谷川式という認知症テストでは7点以下と著しく低く出るというギャップが意味性認知症を疑う鍵となります。

 

 このような方でCTを見てみると、側頭葉の萎縮に左右差が見られ、意味性認知症との診断に至ります。前頭葉もやられると怒りっぽくなるのですが、側頭葉だけが萎縮している段階では穏やかなので、アルツハイマー型認知症と誤診されがちです。
意味性認知症
左の側頭葉のみ萎縮していて薄くなっています。

 

 アルツハイマー型との違いは、アルツハイマー型は年に長谷川式で1点ずつと比較的進行がゆるやかですが、意味性認知症はもっと進行が早い印象があります。側頭葉から前頭葉に萎縮が進行すると、ある時ピック化して怒りっぽくなったりということも起こります。