認知症診療は、大病院の専門医がおすすめ?

 大切な家族が「認知症かもしれない」と疑った時、あなたはどう行動しますか?

 

「大病院で徹底的に検査してもらって、‘専門医’に薬を出してもらえば安心!」
というあなた。
大病院?専門医?

 

そんな家族思いなあなたはとっても…
危険です!!

 

【認知症診療の不都合な真実】

 

 実は、認知症の治療の歴史は、多くの方がイメージするほど長くありません。癌や感染症などの内科の病気が西洋医学の歴史として100年ほどであるのに比べて認知症の治療の歴史は、たかだか20年です。(日本でアリセプトという薬が登場したのが1999年のため)

 

 私が医学生だった頃、認知症の(診断ではなく)治療について、講義らしい講義はありませんでした。さすがに今は認知症が社会的にも注目されているし、そんなことはないだろうと期待して現役の医学生数名に確認してみたところ、状況はいまも変わっていませんでした。

 

 認知症について、医学生は「治療によって生活の質がよくなる」というイメージが全くないまま卒業し、医師になります。医師になってからは、必要な知識を医学書や学会・論文などどで学んでいくのが常ですが、そこで公開されている医学情報は診断や検査に偏っており、治療は非常に手薄です。
 その結果、残念ながら医療現場では、「認知症なんてどうせよくならないんだから…」というあきらめムードが蔓延しているのが実情。(私が知っている病院や医師は違う!という方。ぜひその幸運なご縁を大切にして下さい)

 

 私が知るケースでは、介護家族である息子さんが専門医である前主治医に
「父は、アルツハイマーではなくレビー小体型認知症なのではないでしょうか?」
と尋ねたところ、面倒くさそうに
「関係ありません。どうせ治療なんてないんだから。」
言われたそうです。
大病院?専門医?

 

 そのような状況下で医師が本気で認知症治療に取り組もうと思うと、治療法が確立されていない未開の領域を、手探りしながら進んでいく覚悟が必要です。すべての医師が、研修医のような未熟な状態からスタートせざるを得ないのです。 

 

 一方、本音では認知症をよくしようという意欲があまりない医師が、大規模な病院の組織としての方針でしぶしぶ認知症診療を行わざるをえなくなった場合、どうなるでしょう。

 

「とりあえず認知症という病名で使える薬を、添付文書に書かれている通りに出しておけばいいのだろう。」

 

大病院?専門医?

 

 最初から薬ありきの診療。製薬メーカーからの情報のみで治療をした場合、製薬会社にとって不利益な薬剤情報は、この手の医師の耳は決して入ることはないでしょう。

 

 ここに悲劇が生まれます。認知症の薬剤治療はデリケートで、添付文書どおりに十把ひとからげに治療をしようとすると、いくつもの落とし穴が待ち受けています。その落とし穴一つ一つが「歩行が悪くなってしょっちゅう転ぶようになり骨折する」「むせて誤嚥性肺炎を繰り返すようになってしまった」など、本人の命に直結する重大事態なのです。大規模な病院だから間違いないと妄信するブランド主義は、認知症診療では命を縮めるボタンのかけちがえの、最初のステップとなります。

 

具体的には、

・そもそも認知症はよくならないと断言し、家族から症状の訴えを聞かない医師
・パソコンの画面ばかり見て、患者さんの体に触れない医師
・目の前の患者さんや家族の訴えに耳を傾けず、権威ある医師や学会、製薬メーカーの推奨方法を優先させる医師
・患者さんや家族が治療の方向性に異を唱えた時に、不機嫌になる医師

 

 これらは全てNGです。人間性が…という倫理的な意味でももちろんダメですが、認知症診療については、これらの要素が直接診療の質を左右させ、命を縮める結果となるから絶対にダメなのです。

 

では、どうすればよいのか?
「名より実をとる」ことをお勧めします。
大病院とか専門医と呼ばれる医師すべてを攻撃するつもりは毛頭ありません。まずは病院の規模や資格の有無にかかわらず、よい医師も残念な医師もいるというあたりまえの事実を認識しましょう。

 

 小さな医院でホームページがある場合は必ず目を通し、どのような思いで認知症診療を行っているか、どのような方法で認知症のことを学んでいるかなどが具体的に書かれていればそれは大きなアドバンテージ(利点)となります。大規模な病院では、医師一人一人の情報発信はされていないことが多く、どんな医師にあたるかは受診してみないとわからないのは残念なところです。

 

 どうしても一度はかかっておきたいと思われる場合も、実際の診察で上のNG項目にあたる場合には、適当な理由をつけてさっさと逃げ出した方がよいと思います。あなたの大切な人の命と健康を守るために。
その他に症状や治療について不安なこと、疑問点があれば必ず質問し、その対応を見るというのも大切な判断基準になります。態度が威圧的で、聴きたいことを質問することができない、本人も家族も医師に向かって言いたいことを言えないというのも、長期間のおつきあいが予想されることを考えると、大きなデメリットとなると考えます。

 

 ぜひあなたにとっての‘名医’と巡り合う努力を惜しまないで下さい。