認知症4タイプを知る大切さ

 あなたが認知症全般を勉強しようと思っているのではなくても、「認知症の代表的な4タイプ」を知っておくことは、必ず役に立つと思います。

 

なぜなら
・既についている病名が違っているかもしれないから。
・他のタイプと比較して、自分の立ち位置が把握しやすいから。

 

●今の診断名が違っているかもしれないから

 

 実はこれ、残念ながら日常茶飯事です。
 当院では、もの忘れ外来で話を聞く際に、以前の医療機関では何と診断されていたかをお聞きしています。
「タイプなんて別に言われなかった。ただ認知症だから薬を出しますと。」
ということも実はよくあります。また典型的に別のタイプなのに「アルツハイマー型認知症」と言われていることも、少なくありません。
「なんでもかんでもアルツ病」と言われているものです。アルツハイマー型はその症状に実は個人差が大きく、診断は除外診断(AでもBでもCでもないから…と消去法でたどり着く診断)となります。つまり除外するべき他のタイプの詳しい知識がなければ、アルツハイマーであろうと診断するのは難しいのです。

 

 ある認知症疫学調査では、施設ごとのタイプ別割合が公表されています。認知症専門センターと呼ばれる医療機関で「アルツハイマー型が95%以上、レビー小体型も前頭側頭型も脳血管型も0%」という結果が出ています。認知症に詳しくない一般の方が「認知症=アルツハイマー型」という認識なのはやむを得ませんが、いわゆる専門外来にかかって、高額な医療検査を受けたにも関わらずそういう結果では、つくづく税金の無駄づかい・・・と思ってしまいます。

 

認知症の4タイプを知る大切さ

 

 入口を間違えると出口も間違える。アルツハイマーというキーワードで本を読んだりネット検索をしたり、何か違う…と思ったら、実は他のタイプである可能性を考えましょう。エライ先生の言うことだから絶対に間違いないと思ってはいけません。特に、レビー小体型とピック病(前頭側頭型変性症)は、治療の内容によって劇的によくも悪くもなりえるので注意が必要です。何でもかんでもアルツハイマー病と診断する医師の頭の中には「どうせどう診断したって治療法なんてないんだし一緒でしょ。」という思いがあるのかもしれません。そのような医師にかかって、きめ細やかな対応を望むのが無謀というものです。

 

●比較により自分の立ち位置が理解しやすいから

 

 これは認知症についてだけではありませんよね。自分の足元ばかり見ているとわからないことが、お隣りさんはどうなの?と話すことで、
「あなたのお母さん、足元がふらつくの?うちは足腰は丈夫だから転ぶことは心配ないわ。その分、一人でどこにでも行っちゃうからそこが心配なのよね。」
と立ち位置がわかりやすくなります。
「いい所」と「心配な所・気をつけるべき所」は表裏一体なので、いい所にもしっかりフォーカスして感謝しつつ、気を付けるべき所には対策を練りましょう。

 

認知症の4タイプを知る大切さ

 

認知症の代表的な4タイプとは、
・アルツハイマー型認知症
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型変性症(ピック病・意味性認知症・進行性非流暢性失語)
・脳血管型認知症
の4タイプがあります。

 

*別の記事で「認知症診断はざっくりでよい」と書きました。今回の「タイプを知っておくことの大切さ」と矛盾するのでは?と思われた方はとても鋭いですが、実は矛盾しません。正確なタイプを判断するまで、何も行えないというものではないのです。
最初の時点で精密な診断名がわかっていなくても症状を見ながら治療を開始できますが、レビー特有のパーキンソン症状があるかどうか、ピック病のような激しい怒りがないかどうかのような「治療の影響を受けるポイント」については常に注意しながら治療を進めていきます。診断はざっくり、でも治療は細やかにでいきましょう。