サプリメントに対する考え方

「本当に効果があるのなら、保険適応になっていますよね。」

 

 認知症診療に本格的に乗り出す前の私は、患者さんからサプリメントの相談を受けた時に、こんな風に返していました。やんわりと否定?

 

 コウノメソッドで認知症診療をするようになり、現場で効果を実感した今となっては、無知だったな…と思います。サプリメントというだけで毛嫌いするように「効果がある訳ない」と会話を打ち切る医師は沢山います。多くはサプリメントをしっかり調べて効果がないという結論に至った訳ではなく、知識も興味もなく切り捨てているに過ぎません。
それも一部にはやむを得ない面があり、市場に出回っているサプリメントは膨大な種類があり、あらゆる分野のサプリの詳細について習熟することは不可能です。はっきり否定する訳ではないが「知らないから何とも言えない」ということも往々にしてあります。

 

効果が検証されているサプリメントがある
 市川フォレストクリニック院長の松野先生(千葉県のコウノメソッド実践医)は、はっきりと「サプリメントがなければ、認知症診療が成り立たないほど重要」と表現されていますが、私も同感です。保険診療の薬剤以上に効果をはっきりと実感できるケースを数多く経験しています。
 印象や実感だけではなく、サプリメントの中には医師や研究者が研究に携わり、論文を出しているものがあります。お金儲けだけが目的のインチキ臭いものもあり玉石混交で、一概に「サプリメントは…」と断言できません。質の違いを見極めることは非常に重要であり、わかりやすく情報発信することも専門家としての役割だと認識しています。

 

保険が効かないので平等ではない?
 サプリメントが普及することを「健康が貧富の差によって左右されていいのか。」という論調で非難する人も一部にはいます。標準的な医療が保険によってカバーされているということは非常に重要ですが、それとこれとは問題が別です。そもそも豊かさによって生活の質が左右されるのは、何もサプリメントに限ったことではありません。(食費がぎりぎりで最低限の炭水化物しか摂れない、睡眠時間を削って体を酷使して働かないと生活が回らないなど)
 問題は、すべての人に行き渡らないからという理由で、今目の前にいる方に救いの手を差しのべない方がよいかということ。今私は浮き輪を6個手にしていて、目の前に10人溺れている人がいたらどうするか?私は迷わず持っている浮き輪を片っ端から投げ入れます。

 

サプリメントに対する考え方

 

 どうしたら全員が溺れずに済むだろう…という対策も、同時に考えますが、それは目の前の人を救わない言い訳にはしません
 サプリメントの情報提供を始めたばかりの頃は、初めての経験で自費診療に対して感じる申し訳なさのようなものを感じたのは事実です。しかし河野先生の「自分の親だったらどうするか?」という視点で考えよという言葉で、はっとしました。自分の親や配偶者が難しい病気を患った時、保険が効く治療はありませんと言われ、すんなりあきらめるられるか?何とか少しでも救える方法はないだろうかと模索するのではないか?と。それは食事などの栄養からのアプローチかもしれないし、サプリメントかもしれない。私だったら、自分で取捨選択をするという前提で、よくなる可能性がある選択肢はひとまず手元に置きたいのです。

 

 ただし医師としては、患者さん側の経済状況や価値観が様々であることをよく配慮する必要があると考えています。あくまで一つの情報提供であり、押しつけとは感じないでもらいたいということ、使わないという選択肢をした場合も保険診療の薬の範囲でベストを尽くすことははっきりと伝えます。